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~中国の越境移転規則(後編)~

少し前のニュースになりますが、中国の越境移転規則が3月22日に公布され、即日施行されました。
中国の越境移転についていつ安全性評価を行うべきか、いつ標準契約を締結すべきかといった基準が、
「意見募集稿」ではなく確定した規定として示されたことは、事業者にとって歓迎すべき出来事です。

https://www.cac.gov.cn/2024-03/22/c_1712776611775634.htm

前回はこの第5条までを解説しました。
今日は第6条以降を解説します。

中国には試験的自由貿易区というものがあります。
試験的自由貿易区とは、いわゆるグレートベイエリア(GBA)といわれる香港を含む広東省周辺の地域を指します。
この地域では独自に
「自らデータの境外持ち出しのための安全性評価の申告、個人情報の境外持ち出しのための標準契約、
および個人情報保護認証の管理範囲に含める必要のある域内データリスト(以下、ネガティブリストという)を作成」
することが許されており、このネガティブリストに含まれない限りは安全性評価等を免除されることになっています。

安全性評価が必要な条件は、第7条で通り明確化されています。
意見募集稿の時から変わらず、重要情報インフラ事業者に該当しているか、
「公表された」重要データを中国境外に出しているか、個人情報を年間100万人以上中国境外に出しているか、
センシティブな個人情報を1万人以上中国境外に出しているか、が評価の要否の基準です。
安全性評価は3年間有効であり、3年後評価内容に大きな変更がない場合は、審査が必要なものの、
さらに3年延長することができます(第9条)。
データの越境移転の敷居を下げる配慮がなされているように見えます。

また、個人情報について標準契約や個人情報保護認証が必要となるのは、第8条に定められた条件を満たす場合です。

「10万人以上100万人未満の個人情報(センシティブな個人情報を除く)または1万人未満のセンシティブな個人情報を境外に提供する場合、
法令に基づき、境外提供先との間で個人情報の境外持ち出しのための標準契約の締結を行うか、
個人情報保護認証に合格しなければならない」(第8条)

また、第10条にあるように、
「個人情報を境外に提供する場合、法律及び行政法規の規定に従い、通知義務、本人の個別同意の取得義務、個人情報保護影響評価義務を履行しなければならない」
という義務は依然残っているため、注意をしてください。

データの安全性を確保するためには技術的措置及びその他必要な措置を採用することが求められています。
「安全性を確保するためには技術的措置及びその他必要な措置」は今後GB規格等で示されることとなるのでしょうが、
法規上では具体的には示されていません。
また、データ侵害が発生した場合は是正措置を講じると共に、当局に通知する必要があります(第11条)。

「データの安全性に関するインシデントが発生、或いは圧制した可能性がある場合には、是正措置を講じなければならず、
速やかに省レベル以上のネットワーク情報部門およびその他の関係主管部門に報告しなければならない」

当局は、「チェーン全体および全領域に対する事前・中間・事後の監督を強化し、
境外へのデータ提供活動のリスク或いはデータ安全に関するインシデントが生じた場合にはデータ処理を行う者に対し是正の実施を要求し、
潜在的な危険を除去することを義務付けるものとする」(第12条)とされ、
積極的に越境移転の状況を監督することが奨励されています。
規定で全体的に越境移転の条件を緩和しつつも、監督はしっかり行っていくという姿勢が読み取れます。

以上、中国の越境移転についての新たな規定を見てきました。
中国は国家安全法のもと国家によるデータアクセスが気になる要素があるものの、
データ移転については「現実的な」アプローチをいち早く示したようにも見えます。
製造業などで小規模な事務所を置くのみで、主なデータ移転については人事管理が主だという事業者にとっては負荷は大幅に下がったのではないかと思います。

 

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