2024/5/14★寺川貴也が注目する最新NEWS TOPIC★

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~Global CBPR Forumで話をしたこと~

 

5月15日のGlobal CBPR ForumでCIPL (Centre for Information Policy Leadership) のパネルディスカッションに入れていただくことになっています。

このメルマガが配信されるときにはすでにパネルディスカッションが終わっているので、今回はそこで話をする予定のことを書こうと思います。

 

なお、CBPRについてはIAPPの記事(Unlocking global data privacy interoperability with CBPRs)が良くまとまっているので一度読んでいただければと思います。

 

Global CBPR SystemはAPEC CBPR Systemを、APECという一地域を超えてグローバルに適用しようとするものです。

APEC CBPR (Cross-Border Privacy Rules)はその名からもわかるように、

APEC加盟国が国境を越えたデータの移転を円滑にするための企業単位での認証として始まりました。

大胆に単純化するのであれば、APEC CBPR SystemはEUのBCRsのAPEC版と考えればよいでしょう。

APECでは、Privacy Recognition for Processor System (PRP)という「処理者」のプライバシー慣行を認証する仕組みもあります。

いわゆるProcessorとしてこの認証を取得しておくと、新たな取引を開始する際のdue diligenceがやりやすくなるというメリットがあるのですが、

こちらは残念ながら日本では認証が行われていません。

 

今回のパネルディスカッションでは、私はグローバルなデータ移転を円滑化するツールが誕生することの意義を指摘することにしています。

特にデータの量と多様性がAIモデルの質を左右する中、公正で責任あるAIを開発し、

開発したAIに競争力を持たせるためにはデータリソースを世界各国から収集することが重要です。

これはデータリソースが少ない国にとってはより重要な意味を持ちます。

自由なデータの流通を確保することができなければ、現代の経済の鍵となっているデータリソースを得ることができず、

競争力を失ってしまうということが起きる可能性があるからです。

 

グローバル化した経済において、様々な国や地域に機能を分散させて合理的なオペレーションを行う上でもCBPR/PRPシステムは役に立ちます。

CBPR/PRPシステムは自社グループのポリシーに対する認証であるため、高い柔軟性を持っています。

この柔軟性を活用することで、積極的なグローバル展開が推進できます。

Global CBPRエコノミー圏は今後拡張が見込まれますが、

Global CBPRへの参加国が増えれば増えるほど、ビジネスの柔軟性は向上し、企業は恩恵を受けることができます。

 

Global CBPR/PRP Systemは法域間の相互運用性 (interoperability)を目指すものです。

相互運用性の概念には問題があるという点については前回のメルマガでも指摘した通りですが、経済合理性に在っては欠かせない概念でもあります。

世界中で紛争が絶えない現代に、経済合理性を追求し経済的豊かさを地域にもたらすことで地域の平和を維持しようというのは、

あながち誤ったアプローチではないと私は感じています。

経済が困窮したとき、争いが生まれ、戦争が生まれるからです。

経済一辺倒の社会は決してほめられたものではありませんが、それでもなお、平和をもたらすことに貢献するのであれば進めればよいように思うのです。

プライバシーの専門家としては、その過程で個人の尊厳が護られるよう働きかけていきたいと考えています。

 

最後に、プライバシーマークについても触れておきます。

日本は2024年5月13日現在17611社もの企業が認証を受けているプライバシーマーク認証を運用しています。

これは、世界で最も成功した認証システムです。

そして、プライバシーマークは日本法への準拠を示すと同時に、グローバルなプライバシーの原則にも多くの面で対応しています。

日本を出てビジネスをする企業も増える中、プライバシーマークのグローバル化ということもぜひ考えていただきたいものです。

例えばプライバシーマークをCBPR認証に拡張するような道筋が開ければ、日本の企業が世界で活躍するための障壁が一つ減るのではないかと思います。

 

ただ、忘れてはいけないのは、データが人を不幸にしてはならないということです。

私たちが豊かさを追求するのは幸福になりたいからです。

人の不幸を基礎とした幸福というのは虚構の幸福です。

世界人権宣言をはじめとする、人類が学び言語化してきた価値観を損ねない発展を追求していく義務が私たちにはあります。

 

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~オンライン詐欺とガードレール~

 

OECDの閣僚理事会で5月3日、2019年に採択されたAI原則が更新されました。

2024年の改正では、「汎用AIや生成AIの出現等、近年のAI技術の進歩を踏まえ」、

「プライバシー、知的財産権、安全性、情報の完全性に関わるAI関連の課題に、より直接的に対処」したものとなったとされています。

その一方で、「相互運用性 (inter-operability)」という概念が前面にでるようになり、

「人権」の観点から水準を低下するものとならないかという警戒感も一部では示されています。

 

OECDの新しいAI原則には広島AIプロセスを主導した日本政府が大きな影響力を及ぼしました。

「相互運用性 (inter-operability)」も日本政府が推進する概念の一つです。

(相互運用性はDFFTからもわかるよう、データに関して日本政府が一貫して譲らないラインですね。)

 日本の政務官は当然この概念が人権の水準を低下させることはあり得ないという立場でしょうし、そう信じていることは疑いがありませんが、

そのためのガードレールが確実に存在しなければなりません。

世の中には悪い人がいるのですから、残念ですが、そういった悪い人たちを前提とした取り組みも必要です。

 

以前このメルマガでも紹介しましたが、今、日本でも高齢者は詐欺を行う悪意のある者たちの格好の獲物となっています。

悪意ある者たちは、脆弱な人々を狙います。

普段はしっかりしていても判断力を低下させるように導き、仕留めます。

なじみのない世界の話を持ち出され、それが自分の大切なものに悪い影響を与えると言われると不合理な事柄も合理的に見えてしまうようです。

子どもが狙われるときは、オンラインゲームで多額の請求が問題になるように、単純に欲望に働きかけることが多いようです。

悪意のある者たちは、目的のために手段は選びません。

 

こういった状況の中、コンビニの店員が詐欺を見抜いて警察に知らせ被害を防いだというニュースも増えてきました。

また、先日私が目にしたのは、小学生二人組に熱心に話しかけている初老の男性に、

母親世代と思われる(おそらく二人の子供とは関係のない)女性が「何か御用ですか?」と話しかけて介入する姿です。

ガードレールとは技術的なものに限定されません。

脆弱な者を保護するための社会的ガードレールというものもあるのです。

 

オンラインが発達すればするほど、オフラインの社会の役割が重要になるような気もします。

バイアス一つとっても、不当な差別に苦しむ人を放っておけないという人が社会に多くあれば、

バイアスを是正する力が働き、一つのガードレールを形成することとなるでしょう。

 

人は、幸福になるために集団を作り、集団で生活しています。

原始的かもしれませんが、あながち社会のつながりや社会の共同体意識はガードレールとして軽視できないものではないかと思います。

 

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