2023/1/13★寺川貴也が注目する最新news topic★

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<AIの時代へ

あけましておめでとうございます。
テクニカ・ゼン株式会社の寺川です。

今年の年末年始は比較的ゆっくり過ごすことができました。
普段なかなか読むことができない本を読み、映画を見て過ごすことができたので、
充実した休みだったと思います。
今年は大学での講義に始まり、ワシントン、シンガポールでの発表と
対外的にお話しさせていただく機会がいくつかあります。
こういった貴重な機会に充実した内容のお話を提供できるよう準備を進めています。
ホームページ等で周知していますので、読者の皆さんも機会がありましたら是非ご来場ください。

2023年は新年早々にMeta社に対するDPCの重要な判断があり、
引き続き多くのイベントがある年になることを示唆するようです。
今年の話題の中心の一つは、昨年に引き続き越境移転に関するトピックでしょう。
EU-USデータプライバシーフレームワークの十分性認定も高い確率で発効する他、
日本政府が推進してきたDFFTもグローバルCBPRの実現と共に大きな一歩を踏み出すのではないかと思います。
欧州ではクラウド事業者のための第三国移転に関する行動規範の認定に向けてScope Europeが動いています。
こちらも今年中に実現し、欧州初の越境移転の適法性の根拠となる行動規範となるか可能性があります。
中国ではデータ移転の安全性評価や標準契約についてガイダンスの最終化されたものが出てくることが期待されます。

もう一つの話題の軸は、欧州でのAI法の制定でしょう。
欧州では今月からスウェーデンがEU理事会の議長国となります。
スウェーデンはこれに先立ち公表した政策優先事項で、AI法の導入を推進していくことに言及しています。
AI法に関しては、今年第二四半期頃にはトリローグに入ることができるのではないかというのが専門家の見解です。
欧州のデータ関連法は林立しており、スケジュールが見えにくい状況となっています。
参考までに、AI法に先んじて可決されているデータガバナンス法は2023年9月に、
デジタルサービス法は2024年2月に、デジタル市場法は2023年5月に施行されます。
関係する企業の方はそろそろ準備を進める必要があります。

個人的には、今AIに注目しています。

私たちの生活にはClearview AI社を通じて有名になった画像認識技術、
Amazon社によるアレクサ、Alphabet社によるGoogleスピーカー、
Apple社によるシリに代表される音声認識技術、採用の現場や保険の査定、
ローンの査定といった現場で活用されている自動化した意思決定、
翻訳ソフトで広く普及している言語翻訳と、すでに様々な形でAIが入り込んでいます。

例えば、自動化した意思決定で私たちが目にする情報を取捨選択されるようになっているとしましょう。
ウェブサイトで表示される記事もスマートテレビで流れるニュースも、
AI技術を活用して読み手の嗜好に合わせたものとなるかもしれません。
これは、ある意味合理的な情報収集法かもしれませんが、同時に情報の偏りと狭まりを意味します。
ある調査によると、Youtubeの広まりと共に地球が平らだと信じる人の数や陰謀論を信じる人の数が、
かつてないほど増えたといわれています。

情報は個人の関心の輪の外側にあることから補われることが多くありますし、
クリエイティブな仕事をしようと思う人は専門外の専門家との交流が欠かせません。
多様性は健全な生態系を維持するための基本条件の一つです。
AIの広まりと共に人々の間にOne more choiceがなくなると、
これは社会の崩壊を加速させるきっかけとなりかねません。
現在アメリカやブラジルで起きている出来事、そして日本でも増えつつある悲惨な犯罪を見ていると、
すでに社会に大きな影響を及ぼしているように感じます。

社会のインフラとなったデータにまつわる仕事は重要性を増しています。
私たちもデータに関わる会社の一つとして、
データの専門家の育成や、バランスの取れたデータ利活用の推進といった形で、
引き続き貢献していくことができればと考えています。

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