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2024/4/11★寺川貴也が注目する最新NEWS TOPIC★

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~GPS24~

 

4月3日から4月5日まで開催されたIAPPのGPS24に参加してきました。

今回も5,000名を超える登録があったということで、規模の大きさに驚かされます。

私が何を聞き、何を話したかは4月15日のTokyo knowledgeNetでお話ししますので、ぜひご参加ください。

 

▼Tokyo knowledgeNet

https://my.iapp.org/nc__event?id=a0lTS0000005sEHYAY&mkt_tok=MTM4LUVaTS0wNDIAAAGSG4lZ_9hK3kS1cnPsRJQuT4TrvCy6zmzNde9SfyhgmgsJ9EqXu9b3vE6-AJbjrMlBzUo-ltsF2PzokskDMrHu_i91j3d5qG-1S1mr0CfBV_X7

 

この稿では、少し個人的な回想をしようと思います。

何しろ今回のワシントンでは友人のChristopher ChewがVanguard awardを受賞し、

CAIDPのfounderであるMarc Rotenbergさんの美しい自宅で開かれたホームパーティに呼んでいただき、

フィリピンのDeputy Commissioner のLeandro Angelo Aguirreさんとは日付が変わるまでご一緒させていただき、

とても贅沢な旅となったのです。

 

ネットの時代とはいえ、プライバシーもAIも最終的には人と人の世界です。

国境を越えて豊かなコミュニティが作られています。

コミュニティでは、共に目的を達成する仲間が集い、つながりを確認し、仕事をさらなる高みに押し上げるために励ましあいます。

コミュニティにエネルギーを与え、仲間のエンゲージメントを高める人は讃えられ、表彰されます。

Chrisは、ユーモアあふれる話術を繰り広げ、持って生まれた社交性を通じて新たな仲間が輪に加わるのを助けるプライバシープロフェッショナルとして表彰されました。

友人の一人として、とても嬉しく思いますし、彼を表彰するという決定をしたIAPPのコミュニティを誇りに思います。

 

ところで、私たちの仕事には必ず目的があります。

例えば、データプライバシーの世界では、新技術を享受しながら人間の最も基本的な尊厳を保つことを目指しています。

AIガバナンスの世界では、オートメーションによって私たち人間が歴史を通じて築き讃えてきた社会の在り方を人間が望まない方法で歪めないことを目指しています。

経済は「神の見えざる手」によって導かれるため、自由競争を維持することは重要ですが、

その一方で私たちは、共通の目的を達成するために力を合わせなければならない場面も生じます。

つまり、私たちが何かを為し、エネルギーを注ぐのは、レベルの相違こそあれ「幸福」を得たいからです。

そして、社会を形成する人間にとっては、「幸福」が他者の「不幸」の上に築かれるべきではない、という命題が、

デジタル世界の政策立案者をハードワークに駆り立てているのです。

Marcのホームパーティには彼の私財が投じられています。

それは、Marcが裕福だからではなく、Marcの信念が私財を投じて人をつなげることに価値があると考えるからです。

日本の名を知られない官僚たちが、無責任な社会の批判を傍目に夜を昼に替えて仕事をしているのも、

より大きな目的のために必要を感じるからです。

私は、そういう人たちをリーダーと呼びたいと思います。

プライバシーのコミュニティもAIガバナンスのコミュニティも、共に社会を前進させることにコミットしているリーダー達が生み出し、支えています。

GPSのようなサミットで発表することは、微力ながら一専門家としてそのコミュニティを前進することに貢献するためです。

専門家として、その機会を与えていただけることは名誉ある事であり、深い感謝の念を禁じえません。

 

リーダーは人々の傍にいます。

権威を笠に着る者は、リーダーシップを誤解しています。

人と共に笑い、悲しみ、怒り、恐れる存在です。

Leandroさんはいつもコミュニティの中にいる人です。

共にいる時に話すのも、スポーツの話だとか、奥さんとどのように出会ったかとか、料理の話やたわいないジョークです。

Deputy Commissioner という仕事は言うまでもなく激務です。

Leandroさんはそれを感じさせません。

思えば、フィリピンの高官はそんなところがあります。

前CommissionerのRaymundさんもそんな人でした。

国民性なのかもしれませんね。

GPSの後出会ったシンクタンクで働く友人も、まったく別の文脈で同じことを言っていました。

Leandroさんはテクニカ・ゼンが3年前からスポンサーをしているLGBTQ+のパーティーにも来てくれました。

今年のLGBTQ+のパーティーは不思議の国のアリスをテーマにした仮装パーティーで、とても盛り上がりました。

(親友と思っていたゲイの友人が、共通の別のゲイの友人に私が見たことのない笑顔を見せていたのには少し嫉妬しました)

LGBTQ+のコミュニティもまた、相互に助け合いながら自分たちの場所を確保するための集まりです。

人と異なる選択をするということは容易ではないことがあります。

私は彼らの内なる闘いに敬意を抱いていますし、彼らが幸福でいられる社会であってほしいと思っています。

 

プライバシーの世界も、AIガバナンスの世界も、高い専門性だけでなく、人間性が大切な場所だと思います。

社会に奉仕したいという人はたくさんいますが、そのためには奉仕できる力が必要です。

日本の民間部門からも、自らの専門性と魅力を磨き、高め、コミュニティを前進させてくれる人が早晩生まれることを期待しています。

 

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~LLM時代の仕事~

人工知能学会の学会誌で大阪大学の溝口氏がChatGPTを「なんでも知っている弁舌さわやかなお馬鹿さん」と呼んでいて笑ってしまいました。


溝口氏は、現在主流となっているAI技術は「わかるとは何か」ということに貢献するものではないと切り捨てています。


ChatGPTはわかってもいないのに「みごとにしゃべるという点で驚異的なのである」、という指摘には深く頷いてしまいました。

先日あるお客様のもとを訪問した時にも、LLMの話になり盛り上がりました。


その時、あるクリエーターの方が「LLMを使い倒したクリエーターが、LLMには心を込めることができないという理由で使うのをやめた」といっていたのを聞いて、本当にその通りなのだろうと思いました。

LLMは結局、集積したデータベースから、モデルに基づいて推論を行うに過ぎないツールであり、本物「らしい」アウトプットを高速かつ大量に生み出すことができるという強みを持っているという理解がよさそうです。

当社でもChatGPTを業務に活用しています。「考える」手間を省いてそれなりに「よさそうな」回答を生んでくれるので重宝しています。


その一方で、「思考」しない時間がまた増えてしまうな、という点で問題意識も持っています。「思考」と「経験」に裏打ちされないものは、結局上滑りするからです。


回り道の曲がり角の数が経験と知識の厚みを増やしてくれると考える私には、紆余曲折の数がへることは損失にしか思えません。

そうすると、おのずとLLMを活用する場所も、紆余曲折が減ってよいと思える部分にだけとなります。



LLMを利用すると、時代の常識を反映した「正解」らしい答えが返ってきます。


仕事人は、「正解」らしい答えを条件反射で導入するのではなく、考えるための出発点として使うとよいと思います。


LLMは、私たちの知識に「ゲタ」をはかせてくれるので、そのゲタをもとにオリジナリティを発揮すればよいのです。


そうやってうまれたオリジナリティがLLMの学習モデルに取り込まれ、新たな社会の常識を創造する、というのは(バイアスだらけの)従来の人間社会の在り方となにも変わりませんので、大きな問題とはならないでしょう。

LLMによって省かれる「作業」も数多くあります。こういった作業は、「やれといわれたらやれる」けれどもツールに任せる、という形で継承していきたいものです。


LLMによって生成された出力をファインチューニングするのも人の大切な仕事ですね。

人間の社会は人間が担うしかありません。ツールはこれまでも、これからも省力化、効率化を助けるものでしかありません。


その意味では、「考える」人の存在が今後は重要になると思います。

 

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~若手に贈る言葉~

3月ももう終わりを迎えます。4月からは企業に新入社員が入ってきます。


最近は新卒採用の給与が30万円を超えるところもあるようで、私が新入社員だった20年前と比べると好待遇が目立ちます。人材不足を背景としたことでしょう。


その一方で、給与分の価値のある仕事がアウトプットできないことでふるいにかけられる若手が増えるのではないかと心配しています。

報酬とはあくまで行った仕事に対する対価であり、企業は対価にみあったアウトプットを出すことができないスタッフを抱え続けることはできないはずです。


一見幸運にみえる賃上げは、若手にとっては厳しい未来の前兆かもしれません。

私の世代よりも上でしたら森毅さんという数学者を知っている人も多いと思います。

 


京大の名物教授だった方で、人と少し違ったものの見方を提供してくれる人気のエッセイストでもありました。


久しぶりに彼の書き物を読み返していると、「未来なんて見通すことはできない」と書いていました。


若い人が、先を見通して「良い仕事」につきたいと願っていることについて、10年たったら世の中はがらりと変わるのだから、そんなことは徒労だとさらりと書いていました。


終身雇用制が崩れ、主要産業もわずか数年でがらりと変わる今の時代に、「将来にわたって安心」な就職を望むことなんて望むべくもないでしょう。

 


その一方で、私たちは、変化したら変化したなりに生きていくしたたかさも持ち合わせています。


だとすれば、そう大上段に構えることなく、自分に合った仕事を見つけることができれば、若手にとっては幸運なのだと思います。

今の若手は、「キャリア」形成を考えながら仕事をするそうです。大変で、窮屈な時代ですね。

 


私は会社員時代、「キャリア」形成という言葉を聞いて、思いつくままに職を転々とした自分を反省したことがあります。


雇ってくれたところに飛び込んでできる仕事をしていた側面もあったので、そこにストーリーを後付けでつけることに苦労したのです。


理屈と膏薬はどこにでもつくというのは本当で、なんとなくそれらしい説明をして面接官に「なるほど」と言わせていました。


キャリアについても、森毅さんのいうように、「先のことなんてわからない」というのが本当だと思います。

 


今はプログラミングの技術が評価されているようですが、10年後同じことが評価されることは絶対にないと思います。


今「役に立つ」と言われているスキルなんて、せいぜい会食の話題に上る程度となるでしょう。時代は変わるのです。

仕事ってなんだろう、と考えると、結局はやる羽目になったことを一生懸命やったかどうかの結果かな、感じます。


与えられた仕事を商品となるレベルまで磨き上げられるかで、仕事の価値が生まれます。

 


「がんばった」とか、「こんなに時間を使った」とかいろいろいっても、出来上がったものが相手の望むものでなければ、仕事には価値はありません。結果がすべてなのです。

若いうちは、よい「結果」にこだわり、そのために汗をかくことがいいのだと思います。


「結果」を洗練させるのは、残念ながら優しい言葉ではなく、「鍛錬」ともいうべき努力です。


自分に甘くなりがちなのが人の常なので、厳しい指導者がいてほしいものです。


時代に逆行することを書きますが、不条理で人としていかがなものかと思うような上司や環境ほど、その人の成長にはプラスになっています。


この意味でも、今の若手は厳しい時代に生きています。


大企業や社会通念が「厳しさ」を排除しているため、自分を磨く機会が減ってしまうからです。

本当に「キャリア」を求めるのであれば、若手は当社のような小さな会社でもまれるのが良いと思います。

 


当社はブラック企業ではありませんが、売り上げと仕事の距離が近ければ、必然的に仕事へのプレッシャーがかかります。


私は自分で始めた会社ということもあり、それが当然なので大変とは思わないものの、社員として仕事をすると大変だろうなといつも感じます。


その代わり、成長するスピードはとても速いものがあります。


そういうチャレンジ精神をもった若い人がいま、どれくらいいるのかは正直わかりません。


当社にできることは、そういう機会のある会社もここにあるんだと声をあげておくことくらいです。

 

 

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~国の役割~

気が付けばもう3月の下旬になってしまいました。


4月3日、4日に開催されるIAPPのGPS24に参加するため、私は米国に行く予定があります。


来週は東京に出る予定が入っているため、少しあわただしい日程となっています。


GPS24についてはknowledgeNet Tokyoで4月15日ご報告するよう申し受けていますので、ご都合つく方はぜひ参加を検討してください。

実は、私の現地での予定の半分はAIに関する打ち合わせや会議です。
AIの議論は大学の先生や政府関係者の方が中心となっています。


そういった方々が、「マルチステークホルダーでの議論が必要」ということで一介のコンサルタントの私までも議論に入れてもらえています。


私もなれない場ではありますが、現場の温度感をインプットして、現実的な政策を作ってもらえるようにお手伝いできればと考えています。

AIに関して日本はAI Safety Instituteを作り、AI事業者ガイドラインを公表し、AIと著作権保護との関係について論点整理を再度行う等、活発に動いています。


最近は「AIの安全性」というキーワードもでてきていますが、ここでいう安全性には国家安全保障という概念も含まれているようです。


DFFTと同様に、AIの現場でも国家安全保障の問題とビジネス促進との間で摩擦が生じることもあるようです。


AIの利活用を推進したい一方で国家安全保障を守ろうとし、それがビジネスの阻害要因となってしまっている状況に、国とはいったい何なのだろうと考えさせられます。

私は、国家の諜報活動や情報収集を否定するつもりはありません。


外務省の役人が絢爛な生活を送りながらパイプを築いていくという行為は国にとってはとても重要です。


国際社会であっても、最後は人と人とのつながりで動く部分があるからです。


国家の諜報活動はSchrems II裁判が示すように経済活動に負の影響を及ぼす可能性もあります。


ロジックでつめていけば、それは当然の帰結です。


一歩踏み込んだ情報を得ているからこそ、より効果的な行動をとることができるからです。


諜報活動や情報収集に透明性やアカウンタビリティを求めることには無理があるように思います。


グレーゾーンを白黒つけようとしては、うまくいくものもうまくいきません。

最近の国際的な緊張を見ていると、世界が潔癖になりすぎている気がします。


理想論や原理主義が行き過ぎると、世の中は息苦しくなります。


「文化」や「慣習」、「歴史」という言葉でくるまれますが、グレーゾーン、または裁量で何とかしてしまう余地が人の社会には必要です。


グレーゾーンや裁量が増えすぎると今度は腐敗や癒着、著しい人権の侵害の看過が生まれるので、そのきわどいラインを見極めながらバランスをとることが大切です。

ガバナンスとは、本来、そういうバランスをとるための活動のようにも思います。


だから、人間臭いし、自動化しきれない部分が多くあるのでしょう。

 

 

 

 

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~ウソ~

 

防衛大学校長等を務めた五百籏頭眞氏の訃報が3月6日届きました。

私は直接ご面識があったわけではありませんが、丁度ご子息の五百籏頭薫先生(東京大学)の本を読んでいる時の訃報でした。

お二人とも、私の中高の先輩にあたり、同窓会の幹事をしたことをきっかけに書き物等に目を通させて頂いていたところでした。

ご冥福をお祈りします。

 

私が今読んでいる本の一つに「<嘘>の政治史」(中公選書 五百旗頭薫 著)があります。

東大を訪れる機会があり、五百旗頭先生にご挨拶する許可を得られたので、せめてお書き物の一冊くらいは読んでいかないと、と読み始めた本です。

これがとても面白い内容で、今日はその一部を紹介したいと思います。

 

五百旗頭先生は歴史学の観点から政治と<嘘>について分析をしています。

政治に<嘘>がつきものであるという認識に立って、嘘の発言、嘘への対処という切り口から社会の在り様をとらえています。

特に見る人が見れば嘘であり、指摘する声があっても嘘を語る政治家に権勢があったり支持する人が多かったりするために公にまかり通ってしまう、

「横着な嘘」については批判的な態度をとっています。

 

=======

…これはいけない。まず、まじめに議論する気が失せてしまう。

それに、騙されたり、騙されたふりをしている人々を見ると、つくづくこんな国に住みたくないと思ってしまうかもしれない。

シニシズムを増長させるのは、こういう嘘である。 …(38ページ)

=======

 

人が集まるところには政治があります。

歴史のある大企業や官公庁では特にそうでしょう。

「横着な嘘」の問題は、政治や社会といった大きな問題に留まらず、私たちが身を置く日常の職場にも及んできます。

 

プライバシーやAIへの対応は「ガバナンス」を通じてコントロールします。

「ガバナンス」とは、目的を達成するための仕組みやルールの整備を指すので、人が深く関わります。

社内政治やセクショナリズムとの衝突もしばしば生じるでしょう。

そんな時に、<嘘>を方便として使うということは、このメルマガの読者の方もされているのではないかと思います。

 

注意したいのは、その<嘘>が「横着な嘘」とならないことです。

「言い切ってしまえば勝ち」と高らかに宣言しても、空間と時間を共にしている人には「横着な嘘」は通じてしまいます。

一歩間違えば、一緒に働く仲間に「つくづくこんな会社にいたくない」と思わせてしまうかもしれません。

ガバナンスの目標と現実とのギャップに「しらけ」を生じないような注意がなければいけませんし、

実質的な「搾取」が生まれないように各方面を律することも重要です。

 

ガバナンスの仕事をする機会が増えるにつれ、この仕事は思索の深みや経験の奥深さを求められる仕事ではないかと思うようになってきました。

次から次に流行りのテーマを追いかけるのではなく、

その移ろいゆくテーマの奥底にある「変わらないもの」をとらえようとしなければ、うまくいかないような気がします。

 

私の通っていた中学・高校には石碑がありました。

そこには初代校長の言葉として

「すべてのものは過ぎ去り そして消えて行く そのすぎ去り消えさって 行くものの奥に在る 永遠なるもののことを 静かに考えよう」

という言葉が刻まれています。

卒業後四半世紀を経て、中高時代に巡り合った言葉が重みをもって伝わってきます。

 

 

 

 

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~AI Safety Institute~

 

2月14日に日本政府はIPAのもとにAIの安全性の評価手法の検討等を行う機関として、「AIセーフティ・インスティテュート」を設立しました。

IPAの中に設置されているのは、各国でのAIガバナンスやAIの安全性についての取り組みがサイバーセキュリティ機関で行われていることに足並みを揃えてのことのようです。

「AIセーフティ・インスティテュート」の業務は「安全性評価に係る調査、基準等の検討」や「安全性評価の実施手法、国際連携に関する業務事務」とされています。

日本政府が推進するアジャイルガバナンスでは民間が評価基準等を定めるような説明がされていたのですが、

国としての統一した評価基準が生まれるのか、今後の動きを注視しておきたいと思っています。

 

2月29日に東京未来ビジョン研究センターと東京大学大学院法学政治学研究科の共同シンポジウム「AIの知財とガバナンスの論点」が開催されました。

東京大学はAI政策について興味深いウェビナーやシンポジウムを開催されているので、この分野に関心がある方はセミナー情報を確認しておくと良いでしょう。

AIと知財(著作権法)の議論はとても難しく、なかなかすっきりした整理ができません。

文科省の「AIと著作権に関する考え方について(素案)」のパブコメには、なんと25,000件近くのコメントが寄せられており、関心の高さが伺えます。

LLMが普及したことによって直接影響を受ける人が増えたことが原因の一つなのでしょう。

「享受」しているかどうか、「類似性」があるという線引きはどこかといった点が論点となるようなのですが、

誰にでも理解できる線引きにはなっていないところが難しいところです。

AIの問題は知財だけではありません。

基本的権利、民主的価値、社会正義といった民主主義国家の普遍的な価値を堅持するためのガバナンス確保という視点も必要です。

私の周りではむしろ、AI倫理という文脈でAIガバナンスに関心を寄せる人が多い気がします。(欧米でも著作権の問題は取り上げられます。念のため。)

AIガバナンスの肝は、「実現したい価値を実現するための手段」であることです。

シンポジウムで指摘されていたように、ガバナンスは自転車のサドルと似たもので、

「固定したものではなくある程度の自由度をもって動くことで、行き先をコントロールするための司令塔」としての役割であることを覚えておく必要があります。

グローバルでは、人間社会を維持するためのアプローチとしてガバナンスが語られます。

この視点はとても大切です。

 

翻って、日本のAI政策のモチベーションはAI事業者ガイドラインに記載されている通り、

「少子高齢化に伴う労働力低下等の社会課題の解決手段として、AIの活用が期待されていること」にあります。

内閣府によると、

「総人口に占める65歳以上の者の割合(高齢化率)は、平成72(2060)年には17.8%にまで上昇するものと見込まれており、今後半世紀で高齢化が急速に進展することになる」

という状況が日本の現実です。

日本政府の気持ちを平たく言えば、「このままじゃ国が崩壊する。テクノロジーで回避できるのではないか。」と言った切羽詰まった状況でAI政策を行っています。

 

AIのようなテクノロジーを活用しないと日本社会が維持できないという理由が背景にあるからこそ、

積極的にAIを推進しているのであり、「リスクを抑え込めないからAIを使うのはやめておこう」という選択肢は、もはやあり得ないと言って良いでしょう。

そんな中で作られるルールには注意が必要です。

 

今、日本ではAIガバナンスの認証制度を作ろうという動きも出てきています。

その際、AIセーフティ・インスティテュートも重要な役割を果たすことでしょう。

AIガバナンスの認証は、AIを活用する企業であれば必ず導入せざるを得なくなると思います。

ただ、グローバル企業が注意しておくべきことは「日本の基準」は前のめりな基準であり、

より中立的な立場からの基準を提示しているものが国外にあるという視点です。

自社のスタンスとビジネス上の戦略を考慮したうえで、何に準拠するかを考えることが望ましいでしょう。

多様な情報を容易に入手できる時代だからこそ、自分たちの視点から最適な基準を選択していきたいものです。

 

 

 

 

 

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~ソルーションを売る~

 

私は運がいいことに、すごいなと思う方と時間をご一緒させてもらうことが割と多くあります。

そのような方たちはプライバシーやAIの仕事をしている方ばかりではありません。

それでも気さくに話をしてくださり、楽しい時間を過ごさせていただいています。

そういった方達と話をしていて何が面白いかというと、彼らの仕事の取り組みが、

いわゆる教科書的な取り組みと少し違う型破りなところだと思います。

一般的な言葉でいうと、私がすごいなと思う方たちは、会社やお客様の課題の解決をされています。

ビジネス風に言えば「ソルーションを提供している」と言い換えていいと思います。

同じ会社や業界の他の人たちも似たようなことはしています。

ただ、「似たようなこと」と彼らが体現しているソルーションとは体感として違うことが分かります。

前者はbook wise (勉強した賢さ)で、後者はstreet wise (路地で学んだ賢さ)なのだと思います。

MBAで学べるのはbook wise、現場で身に着けるのがstreet wiseです。

聞いている人がワクワクするのは、street wiseの方です。

 

三遊亭圓歌という落語家が真打に昇格したとき、同時に昇格した林家こぶ平だけにフラッシュが当たり、

同じ楽屋にいた三遊亭圓歌にはマスコミはまったく見向きもしなかったそうです。

悔しくて楽屋を飛び出した三遊亭圓歌に恩人は

「うさぎとかめの童話で、うさぎがどうしてかめに負けたのか言ってごらん」と声をかけたと言います。

「うさぎにはいつでも勝てるという油断があったからです」という三遊亭圓歌の答えを否定して、恩人はこう続けました。

「かめにとって相手はウサギでもライオンでも何でもよかったはずだ。なぜならかめは一遍も相手を見ていないんだよ。

かめは旗の立っている頂上、つまり人生の目標だけを見つめ続けて歩き続けた。

…君の人生の目標はこぶ平君ではないはずだ。賢いかめになって歩き続けなさい」

人生の目標というと話が大きくなってしまいますが、仕事の取組みという視点にまで話を近づけたら、

この話はstreet wiseな方たちの在り方をよく説明してくれるなと思います。

私が惹きつけられる(そして、彼らのオーディエンス(お客様や同僚)もまた惹きつけられる)、

すごい方たちは、「旗の立っている頂上」しかみていなのだろうと思います。

だから、「そういうアプローチがあったか」と発見の喜びを感じさせてくれるのだと思います。

独創性は、ゴールに向かう工夫と言い換えることができるからです。

 

当社では、プライバシーマネジメントやガバナンスの構築方法についてトレーニングをしています。

その際、「教科書」として「型」を学ぶことができると受講生の方にはお伝えしています。

残念ながら、現場では、「型」通りになることはほとんどありません。

それでも、やはり「型」を学ぶことは大切です。

当たり前のことを徹底してできているかが、大きな差を生むからです。

実際、芸事やスポーツの世界、仕事を極めた人は、誰もが基本の大切さを説いています。

基本ができていない人は伸びないし途中で挫折してしまうといいます。

始まりはbook wiseとなるかもしれません。

でも、その基本を繰り返して身に着けて、ソルーションとしてのプライバシーを自分の持ち場で売ることができるようになった時、

その人は本当の意味でのプライバシープロフェッショナルになるのだろうと思います。

 

 

 

 

 

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~AIの問題についての問題~

 

今年のIAPPの国際カンファレンスはAIが話題の半分以上を占めています。

もちろん社会に大きな影響を与える重要な問題であり、議論は尽くされるべきなのですが、

議論がどこに収れんしようとしているのかは定かではありません。

「信頼できる責任あるAI」とは一体何を指すのか、どのようにすれば実現するのか、

について納得のいく議論をまだ目にすることができていないからかもしれません。

 

そんな思いを抱いているとき、

OECDのAIについてのブログ( https://oecd.ai/en/wonk/safety-ai-the-challenger-disaster )でAIの標準化責任者であるJames Gealy氏の意見を読み、

少し視界が開けた気がしました。

このブログでJames Gaely氏は1986年に発生したチャレンジャー号の爆発事故と、その調査過程で著名な物理学者ファイマン博士が示した見解を紹介し、

現在のGPAI (General Purpose AI)に対する懸念を示しています。

興味深い内容だったので、ここで紹介しましょう。

 

物理学者のファイマン博士は、チャレンジャー号の事故後編成された事故調査委員会(ロジャース委員会)の委員として参加していました。

独自の考えで行動することで知られていた博士は、時に委員会を欠席し、独自の調査を行っていたそうです。

2月に行われた公聴会で、ファイマン博士はロケットブースターに用いられていたOリングが調査委員会に提出された際、

氷水を持ってくるように言い、氷水に浸したOリングをクランプで挟み込んだ後、

Oリングが元の形に戻らないことを実証しました。

 

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”I took this stuff that I got out of your seal and I put it in ice water, and I discovered that when you put some pressure on it for a while and then undo it, it doesn’t stretch back.

It stays the same dimension.

In other words, for a few seconds at least and more seconds than that, there is no resilience in this particular material when it is at a temperature of 32 degrees.”

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あなたのシールから取り出したものを氷水に入れてみたのですが、しばらく圧力をかけてから圧力をかけるのをやめると、元に戻らないことがわかりました。

同じ形のままです。

言い換えれば、少なくとも数秒間、あるいはそれ以上の数秒間は、この素材は32度の温度では弾力性がないということす。

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ファイマン博士と調査委員会は、NASAが同種の実験を行っていれば事故を避けることができたはずだと結論付けています。

 

ファイマン博士はロジャーズ調査委員会の作成した調査報告書に対して多くの面で異議を唱えたようです。

ロジャーズ委員長は説得の末、

ファイマン博士の見解を調査報告書の付録 (Appendix F (https://www.nasa.gov/history/rogersrep/v2appf.htm)) として掲載することで、

かろうじて彼の合意を取り付けたといいます。

 

この事故は人為的な要因が大きかったといわれています。

チャレンジャー号打ち上げ前日、現地は大きく冷え込みました。

ロケットブースターのエンジニアはこのことに懸念を示し、打ち上げの延長を勧告したといいます。

しかし、スケジュールの遅延を嫌ったNASAのマネジメントはこれに反発し、

最終的にロケットブースターの製造元の経営陣は打ち上げに”Go”を出しました。

その結果、冷えすぎて硬直化したOリングがシーリング機能を果たすことができず、

高温の排気が漏れて外部燃料タンクが破裂するという事象に至ったそうです。

 

調査報告書のAppendix Fで、ファイマン博士は冒頭、

スペースシャトルとそのクルーを失う確率をマネジメントは100,000分の1だと信じていたのに対し、

エンジニアは100分の1だと信じていたと述べています。

そして「マネジメントが幻想的な信頼を機械に抱いた原因は何なのだろうか?」

(“What is the cause of management’s fantastic faith in the machinery?”)と述べています。

 

ファイマン博士は、Oリングの問題について

「これらの飛行が受け入れられ、成功したことが安全性の証拠とされる。しかし、浸食やブローバイは設計が想定したものではない。

何かが間違っているという警告なのだ。装置は期待通りに作動しておらず、それゆえ、さらに大きく逸脱して作動する危険性がある…。

この危険性を完全に理解しない限り、以前は大惨事に至らなかったからといって、次回もそうならないという保証はない。」

と続けています。

 

調査報告書のAppendix Fは今なお大きな価値がある文書です。

AIに関わりたいと思っている方にはぜひ一読していただきたいと思います。

現在、人間レベルのAIモデルやAIシステムを研究開発するために何十億ドルもの資金が投入されています。

その一方で、AIの安全性検証の方法確立に向けた取組については、このメルマガで紹介したRyan氏のように、心ある一部の人が自分の資産を元手に行っているケースが多くみられ、資金が圧倒的に不足しているのが現状です。

さらに悪いことにAI監査の基準を作る人々が、自らの利益誘導に動いている状況も散見されます。

その様子は中国の歴史で繰り返し現れる王朝の腐敗した官僚制度のようです。

 

James Gaely氏は、

「私は、潜在的に危険な能力の領域に侵入しているにもかかわらず、スケーリングが継続することを前提にしているのではないかと危惧している。

スケールを第一に考え、リスクを第二に評価するのであれば、安全性とリスク管理は二の次にならざるを得ない。」

と述べ、警鐘を鳴らしています。

ファイマン博士も報告書で

「成功する技術のためには、広報よりも現実が優先されなければならない。自然の摂理はごまかすことができないのだから」

(“For a successful technology, reality must take precedence over public relations, for nature cannot be fooled.”)

と言っています。

 

AIモデルを構築・配備する組織は、安全に対して十分な余裕を持ったスケジュールに従わなければならず、

強固な安全文化を持たなければなりません。

さらに、これらのシステムが実際にどのように機能するのかについて、理解を深める必要があります。

 

ファイマン博士はこう述べています。

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Let us make recommendations to ensure that NASA officials deal in a world of reality in understanding technological weaknesses and imperfections well enough to be actively trying to eliminate them.

They must live in reality in comparing the costs and utility of the Shuttle to other methods of entering space.

And they must be realistic in making contracts, in estimating costs, and the difficulty of the projects.

Only realistic flight schedules should be proposed, schedules that have a reasonable chance of being met.

If in this way the government would not support them, then so be it.

NASA owes it to the citizens from whom it asks support to be frank, honest, and informative, so that these citizens can make the wisest decisions for the use of their limited resources.”

==========

私たちは、NASAの職員が技術的な弱点や不完全さを十分に理解し、

それらを積極的に排除しようとする現実の世界に対応できるような提言をしよう。

NASAの職員は、シャトルのコストや有用性を他の宇宙進出の方法と比較する際、

現実の世界に身を置かなければならない。

そして、契約を結ぶ際、コストを見積もる際、プロジェクトの難易度を見積もる際には、現実的でなければならない。

現実的な飛行スケジュール、つまり達成できる見込みのあるスケジュールのみが提案されるべきである。

そうすることで、政府がNASAを支援しなくなるのであれば、それはそれで仕方がない。

NASAは、市民が限られた資源の使用について最も賢明な決断を下せるように、

支援を求める市民に対して、率直で正直で有益な情報を提供する義務がある。

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シャトルをAIと置き換えても、この提言はまだ有効に聞こえます。

 

 

 

 

 

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~プライバシープロフェッショナル~

 

プライバシーの専門家が足りない、という話をよく聞きます。

プライバシープロフェッショナルというのは、まだ成長分野のようで、

私もLinkedInでたまに「どうすればプライバシープロフェッショナルになれるのか?」という質問を受けます。

 

一口にプライバシープロフェッショナルといっても幅が広いわけで、定義するのは難しいと思います。

私の周りには30年超プライバシーの仕事をしてきた人をはじめ、10年以上プライバシーにかかわっている人がたくさんいるため、

自分がプライバシープロフェッショナルとはいつまでも思えません。

いいお酒と同じで、年季の入ったプライバシープロフェッショナルは自然にプライバシープロフェッショナルだな、と感じます。

(そういうプロフェッショナルと仕事ができるのは幸せだと思います。)

 

プライバシープロフェッショナルになるにはIAPPの資格が必須なのでしょうか?

これは、正直わかりません。

私が最も尊敬するプロフェッショナルの一人はIAPPの資格を持っていません。

それでも、彼女はプライバシーを深く理解していると誰もが知っています。

彼女を見ていると、資格はやっぱり付加的なものかな、とも思います。

 

当社ではIAPPのトレーニングを提供しています。

そんな当社がIAPPの資格は役に立つかわからないというわけにはいきませんので少し擁護しておくと、

IAPPのトレーニングを学ばれたプライバシープロフェッショナルは、

概ねバランスの取れたプライバシーの見方をされていることが多いように思います。

独学でプライバシーをされてきた方とは異なる安定感を感じます。

私はよく言うのですが、IAPPのトレーニングを受講する良いところは、

「型」となる基本を知ることができることにあるのだと思っています。

 

「型」とは面白いものです。

普遍性を持つものでありながら、「型」だけを愚直にしていると面白みがなくなります。

どこかで「破」を経験し、プロフェッショナルならではの表現を必要とします。

「破」は残念ながら教えられません。

そのプロフェッショナルのパーソナリティに結びついているように感じます。

IAPPのトレーニングでAと書いているからAをしなければならない、という性質のものではない、

ということを理解できれば、「破」のプロセスへ一歩踏み出せるように思います。

 

ここ数か月、日本の自動車業界で不正検査のニュースが広まっています。

昔メーカーで仕事をしていた私としては、とても残念なニュースです。

日本の製造業の現場にあった「愚直さ」を重んじる空気が薄れてしまったのかな、と思うからです。

「破」は手を抜くこととは異なります。

基本を外さず、表現を変えるのが「破」です。

プライバシーマネジメントも、雑にしてはだめです。

モノづくりに限らず、「当たり前をばかになってちゃんとやる」というのはよい仕事の基本です。

「破」のプロセスでも、当たり前は大切にしておいてほしいです。

 

プライバシープロフェッショナルは法律や技術、組織、お客様、プロジェクト、と様々なテーマで仕事をします。

その幅広さが面白みだと思います。

プライバシープロフェッショナルは”people’s people”である必要があるため、人としての魅力も大切です。

これまでの仕事の経験と、生きてきた道のりが役に立つのがプライバシープロフェッショナルです。

 

データプライバシーをしていると、ついついデータを保護することにばかり目が行きます。

でも、データは「使用」するために集めていることを忘れてもいけません。

だから、組織の中では、プライバシープロフェッショナルは、データ保護責任者となると同時に、

プライバシープロセッショナル(privacy processional)として個人データ処理をいかに促進するかについて議論することもあり得ます。

この両軸を忘れないようにすることが、案外いいプライバシープロフェッショナルの条件ではないか、と感じます。

 

 

 

 

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~プライバシーウィーク~

 

東京で1月23日に開催された IAPPのイベントは大盛況でした。

私も出張に合わせて伺うことができ、充実した2時間を過ごさせていただきました。

幹事をされているセガの岡本さん、西村あさひ法律事務所の河合さん、長嶋大野常松法律事務所の早川さん、

そして何より会場を提供してくださったセガのスタッフの皆さんに感謝が尽きません。

 

今回のプライバシーウィークは「プライバシー文化を企業内でうまく醸成するには?」というテーマでディスカッションをされていました。

ANAの定行さん、セガの石田さん、楽天の辻畑さんと、大手企業の第一線を率いている方々がパネリストとして登壇されていて、

岡村さんの進行のもと、とても良いディスカッションを聞くことができました。

 

興味深かったのが、皆さん社内外に向けてポータルサイトを作るという取り組みをされていることです。

楽天さんはプライバシーサイトの運営に4名もの方が関わっており、マンガやクイズ等さまざまな方法で興味を持ってもらおうとしているそうです。

本気度合いが伝わってきますね。

その一方で、アクセス数が課題の1つということもおっしゃっていました。

プライバシーの専門家とそうでない方との間の温度感のギャップを埋めるのは容易なことではありません。

 

ANAの定行さんが「営業とかマーケティングはボトムアップが普通だけれども、ガバナンスはトップダウンだ」とおっしゃっていたのは、

改めて組織の中の仕事の流れの複雑さに気付かされるコメントでした。

トップダウンというと窮屈に思うかもしれませんが、

十分に浸透すると「プライバシーを保護するということが当たり前のこととして浸透していて、そこを起点に取り組みの可否を考える」(Microsoft久保田さん)という状態になるので、

その領域にまで到達したいですね。

 

プライバシーガバナンスの在り方は、会社によって異なっていて良いと思います。

最終的に守りたいものを守ることができればいいのです。

プライバシーの場合、人の権利と自由、利益を大切にできる組織になっていたら良いのだと思います。

 

私個人の話をすると、今回の会にはMicrosoftの久保田さん、アンダーソン毛利友常法律事務所の中崎さんが来られており、

昔一緒にチェアをした人達と久しぶりに再会できたことがうれしかったです。

会の後、短い時間でしたが3人で少し話をして近況を交換しました。

僕らの時からは考えられないくらい大きな会になりましたね、と話しながら楽しい時間を過ごすことができました。

 

中崎さんはAIについての本をそろそろ出されるそうです。

中崎さんの本はポイントを端的に分かりやすくまとめてくださるので、いつも重宝しています。

皆さんもぜひチェックしてみてください。(GDPRの本は改訂版を出す予定があるそうです。)

 

▼IAPP

https://iapp.org/

 

▼IAPPメンバーシップへの参加はこちら

https://iapp.org/join/

 

 

 

 

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