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~京都大学サマーキャンプの報告~
7月4日から7月7日にかけ、京都大学大学院法学研究科附属法政策共同研究センター(Center for Interdisciplinary Studies of Law and Policy, CISLP)が開催した
Summer Camp on Governance Innovationに参加してきました。
アランチューリングインスティテュートや欧州議会のシンクタンクであるEuropean Policy Study (CEPS)、ニューヨーク州立大学、スタンフォード大学、経産省と、
AI政策の先端をリードする研究者が講義を行い、ワークショップを通じて理解を深めるという非常に贅沢なサマーキャンプでした。
参加者も、OECDのAI担当者や有名なテック企業の公共政策担当者、官公庁出身の方、シンクタンク、大手会計事務所のパートナー等、
この分野の先端で仕事をする方で、英語で活発に議論が交わされる熱気のある時間を過ごすことができました。
多くの専門家に知ってもらいたい話が数多くあったのですが、スペースの都合上、今回は全体を通じて考えたを書くことにします。
今回のサマーキャンプを主催している京都大学のCISLPは先端技術に関わる政策研究センターです。
理論のみならず実務への還元にも重きを置いており、サマーキャンプを企画された羽深宏樹先生は経産省の報告書を執筆しています。
ここで取り上げられているアジャイルガバナンスというコンセプトは、G7のデジタル技術大臣会合が出した声明で承認(acknowledge)されています。
アジャイルガバナンスとは、急速に進展が進む技術を適切に管理するために動的かつ柔軟に変化に対応するためのアプローチをいいます。
その実現のためには、従来の「官から民へ統制を行う」というスタイルから「官と民が同じ土俵で協同しながら統制を推進する」というスタイルへの変更が模索されます。
経産省が出している「Society5.0の実現に向けた法とアーキテクチャのリ・デザイン」を紐解くと、
「ルールベースの法規制からゴールベースの法規制」という言葉や、
企業に「被規制社からルールの共同設計・実施者へ」と変化することを期待するといった言葉が並んでいます。
言葉面を追うと、いわゆるDAO(Decentralized Autonomous Organization)を志向しているようにも見えます。
ただ、想定しているのはそれほどラディカルなものでもなさそうです。
政府の存在意義は留保するので、当然と言えば当然です。
日本政府は、ここ数年アジャイルガバナンスの概念をプロモーションしており、G7の宣言に差し入れることに成功しました。
カタカナ語の「アジャイル」という言葉から新しい取り組みのような印象を受けるものの、ポイントは「社会の変化に柔軟、かつ動的に対応する」ことなので、
他のG7加盟国としては異論をはさむ必要もなかったということのような気もします。
経産省の担当官が行った講義ではアジャイルガバナンスという言葉に対してG7加盟国の専門家が的外れな指摘をしたエピソードが紹介されていました。
そのような状況から推測すると「アジャイル」なアプローチの方法論については(今回の議論を聞く限り)G7でも一枚岩というわけではなさそうです。
個人的にはそもそもこれまで政府が担ってきた役割を民間に降ろしていくことを民間企業がどうとらえるかという点に興味があります。
政府がイメージしている姿の一つは自動車業界の在り方でしょう。
自動車業界は自主ルールが整備され、厳しく運営されています。(高圧ガスを扱う規制も同様です。)
その一方で、最近は品質不正問題が取りざたされるように、制度疲労も観察されるようです。
長くなるのであまり詳しく話せませんが、品質不良が発生したときの是正は、AIと自動車では異なることは認識しておく必要があります。
モノへの影響に限定される自動車と人の「思考」に影響を与える可能性のあるAIとでは影響の質は全く異なるため同じ土俵で議論すべきではありません。
さらに、「官民が協力してことを進める」というのは口で言うほど簡単ではありません。
「官」の数は有限ですが、「民」の数は「官」の数よりもはるかに多いはずです。
ステークホルダが増えるほど意思決定は難しくなるため、合理化のために大企業数社と政府とがルールを決定するということに落ち着いてしまう可能性はないでしょうか。
少数の意思決定者が支配する世界は強引な意思決定を可能とするため、社会的不平等を招きやすいと思います。
いろいろと書きましたが、G7を経て、日本では今後ますます「アジャイル」なアプローチという声を聞くようになるでしょう。
「変化に柔軟に、かつ動的に対応する」という基本姿勢を外さないように行動するというのを当面の指針としつつ、
不合理な意思決定を許容しない監視を強化する必要性があるように思います。
不合理かどうかを判断するには「正しさ」の軸が必要です。
「正しさ」とは価値判断から生じますので、これからの社会は、最終的には社会として是とすること(社会善)に対する確かな価値観が求められるのだと思います。
価値観には西洋思想も東洋思想も関係ありません。
私たちが現時点で何を「幸福」とみなすかが焦点となります。
在りたい姿は何か、それを真摯に対話し続ける誠実さが必要ではないでしょうか。
↓↓当日の様子はこちら↓↓
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