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~オンライン詐欺とガードレール~
OECDの閣僚理事会で5月3日、2019年に採択されたAI原則が更新されました。
2024年の改正では、「汎用AIや生成AIの出現等、近年のAI技術の進歩を踏まえ」、
「プライバシー、知的財産権、安全性、情報の完全性に関わるAI関連の課題に、より直接的に対処」したものとなったとされています。
その一方で、「相互運用性 (inter-operability)」という概念が前面にでるようになり、
「人権」の観点から水準を低下するものとならないかという警戒感も一部では示されています。
OECDの新しいAI原則には広島AIプロセスを主導した日本政府が大きな影響力を及ぼしました。
「相互運用性 (inter-operability)」も日本政府が推進する概念の一つです。
(相互運用性はDFFTからもわかるよう、データに関して日本政府が一貫して譲らないラインですね。)
日本の政務官は当然この概念が人権の水準を低下させることはあり得ないという立場でしょうし、そう信じていることは疑いがありませんが、
そのためのガードレールが確実に存在しなければなりません。
世の中には悪い人がいるのですから、残念ですが、そういった悪い人たちを前提とした取り組みも必要です。
以前このメルマガでも紹介しましたが、今、日本でも高齢者は詐欺を行う悪意のある者たちの格好の獲物となっています。
悪意ある者たちは、脆弱な人々を狙います。
普段はしっかりしていても判断力を低下させるように導き、仕留めます。
なじみのない世界の話を持ち出され、それが自分の大切なものに悪い影響を与えると言われると不合理な事柄も合理的に見えてしまうようです。
子どもが狙われるときは、オンラインゲームで多額の請求が問題になるように、単純に欲望に働きかけることが多いようです。
悪意のある者たちは、目的のために手段は選びません。
こういった状況の中、コンビニの店員が詐欺を見抜いて警察に知らせ被害を防いだというニュースも増えてきました。
また、先日私が目にしたのは、小学生二人組に熱心に話しかけている初老の男性に、
母親世代と思われる(おそらく二人の子供とは関係のない)女性が「何か御用ですか?」と話しかけて介入する姿です。
ガードレールとは技術的なものに限定されません。
脆弱な者を保護するための社会的ガードレールというものもあるのです。
オンラインが発達すればするほど、オフラインの社会の役割が重要になるような気もします。
バイアス一つとっても、不当な差別に苦しむ人を放っておけないという人が社会に多くあれば、
バイアスを是正する力が働き、一つのガードレールを形成することとなるでしょう。
人は、幸福になるために集団を作り、集団で生活しています。
原始的かもしれませんが、あながち社会のつながりや社会の共同体意識はガードレールとして軽視できないものではないかと思います。
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