「GDPR」カテゴリーアーカイブ

透明性のガイドライン(WP260 rev.01)を読む(49)

引き続き「透明性のガイドライン(WP260 rev.01)」を読んでいきます。

GDPR第13条、GDPR第14条で記載すべきことについてのWP29の見解をまとめておきます。
【個人データの受領者(又は受領者の種類)】
第三者かどうかに関わらず、データを受け取る存在を記載すること。
他のデータ管理者、共同管理者、共同処理者を含む。
実名または受領者の種類を記載すること。
データ主体が、誰にデータが渡るのかを理解できることがポイント。
受領者の種類を記載する場合は、できるだけ特定すること。(受領者の種類、産業、セクター、サブ・セクター等)

【第三国移転の詳細、そこでなされる安全保護策、十分性認定の有無、安全保護策の証拠となるもののコピー】
十分性認定、BCR、SCC、デロゲーションといった安全保護策を特定すること。
関連文書へのアクセス方法、入手先、を提示すること。

【保管期間(可能なら保管期間の判定基準も)】
法的要件、産業ガイドラインに準拠するものでよいが、データ主体がアクセスできるようにしておくこと。
単に「ビジネス上必要な限り」としておくことは不十分である。
個人データの種類ごとに保管期間を変更し、場合によってはアーカイブ期間も記載すること。

透明性のガイドライン(WP260 rev.01)を読む(48)

引き続き「透明性のガイドライン(WP260 rev.01)」を読んでいきます。

GDPR第13条、GDPR第14条で記載すべきことについてのWP29の見解をまとめておきます。
【管理者/代理人の身元、連絡先】
容易に管理者/代理人が判別可能であること。
複数の連絡手段が記載されていること(電話番号、住所、emailアドレス、等)

【DPOの連絡先】
DPOのガイドランを参照のこと

【処理の目的と適法根拠】
処理の目的と適法根拠を記載すること。
特別カテゴリーのデータについてはどのデータかを特定すること。
犯罪履歴、安全保障、欧州法や加盟国法に基づいて処理する場合、その根拠を特定

【正当な利益を適法根拠とするとき、その内容】
正当な利益の内容を特定。
バランシングテスト(処理以前に実施必要)に関する情報。
情報疲労を起こさせないため、階層構造で情報提供すること。
データ主体はバランシングテストについての情報を請求できると明示すること。

【関連する個人データの種類】
GDPR第14条のみの要件。

透明性のガイドライン(WP260 rev.01)を読む(47)

引き続き「透明性のガイドライン(WP260 rev.01)」を読んでいきます。

<データ主体の権利の制限>
【69】
GDPR第85条ではジャーナリズム、学術研究、アート、文学による表現の自由に関して、各国法で融和法を設定するように示しています。(GDPR第12条 – GDPR第14条で記載される透明性の原理を含む)

<透明性とデータ侵害>
【70】
WP29はデータ侵害についてのガイドラインを出していますが、データ侵害通知においてもGDPR第12条に準拠した透明性の原理の遵守は重要です。
データ侵害通知を行うときは明瞭で平易な言葉を使わなければなりません。GDPR第13条、GDPR第14条で規定される情報を通知する場合と同様の基準を適用してください。

(本文完了)

透明性のガイドライン(WP260 rev.01)を読む(46)

透明性のガイドラインもあと2回で読み終わります。
なかなか長編で大変でしたが、重要なガイドラインなので、ぜひ折に触れて内容を確認していただければと存じます。

引き続き「透明性のガイドライン(WP260 rev.01)」を読んでいきます。

<データ主体の権利の制限>
【68】
GDPR第23条には、加盟国法(又はEU法)でデータ主体の権利を制限できるケースも記載があります。
この場合も、個人の権利と自由が守られ、適切な安全保護策がとられていなければなりません。

これに準拠してデータ主体の権利を制限する場合は、管理者は国家の基準がどのように適用されているのか説明できなければなりません。

GDPR第23条(2)(h)で記載されているように、データ管理者はデータ主体の権利を制限している目的に影響を与えない限り、その事実について情報提供しなければなりません。
また、公平性の原理により、データ管理者は国の法的制限または透明性の義務に準拠していることをデータ主体に情報提供しなければなりません。

このようにしてデータ管理者が準拠している情報を提供し、データ主体が驚かないようにしなければなりません。
データの仮名化と最小化に関しては、GDPR第11条で個人を特定できない場合は個人を特定するためにあえて情報を取得する必要がないとしていますが、データ主体の権利行使については、データ主体からの情報をもとに可能な限り権利行使を可能としなければなりません。

透明性のガイドライン(WP260 rev.01)を読む(45)

【データ主体の権利】オランダのDPA 違反に48,000ユーロ(約650万円)課金
ある個人について保有している個人データの一般情報、処理目的、データの種類、開示先、データの取得元をある銀行が提供できなかったとして、オランダのDPAが1週間につき12,000(約160万円)ユーロの支払いを命じました。
銀行は、当該個人の情報を提供するのに1か月かかりました。

引き続き「透明性のガイドライン(WP260 rev.01)」を読んでいきます。

<秘密保持義務による機密>
【67】
法的な秘匿性を含め、加盟国法やEU法によって秘密保持の義務を負う場合、GDPR第14条(5)(d)によって情報提供義務を除外されます。
この条項に基づいて情報提供義務を除外しようとする場合は、管理者は例外規定を明示し、その規定のどの部分が情報提供義務を除外する内容となっているか説明できなければなりません。

例)
医療従事者は患者の医療情報について専門家としての秘密保持義務を負っています。
ある患者が、その親戚が共通して持つ、健康に関する遺伝情報を医療従事者に提供しました。
患者はまた、同じような状況の親戚の個人データも医療従事者に提供しました。

医療従事者はこの場合、その親戚にGDPR第14条に準拠した情報通知を行う必要はありません。
患者に対する秘密保持義務違反となるためです。

透明性のガイドライン(WP260 rev.01)を読む(44)

【データ・ローカライゼーションの動向】インドがECの国家フレームワークを起案
2年間の猶予期間後、e-commerceを行う会社はインド国内にある種のデータを保管するよう求められる模様。インド国内に保管すべきデータは以下。e-commerceプラットフォーム内、ソーシャルメディア、サーチエンジンでインド国内ユーザによって生成されたデータ。その他、不特定多数を目的とした電子コミュニケーションを規制する法的枠組みを強化し、消費者が生成したデータのポータビリティ権を実装しています。

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<法律によって明示的にデータ取得、公開を命じられた場合>
【66】
GDPR第14条(5)には、「管理者が従うべき加盟国法によって明示的に」個人データを取得または開示するよう求められた場合、GDPR第14条(1)、GDPR第14条(2)、GDPR第14条(4)の規定が除外されます。
ただし、この場合、加盟国法が「データ主体の正当な利益を適切に保護する手段」を提供していることが条件となっています。

加盟国法は管理者に直接適用されるため、管理者はどのように当該法が適用sれ、個人データを取得・開示しなければならなかったかについて説明できなければなりません。
「データ主体の正当な利益を適切に保護する手段」を規定するのは加盟国法ですが、管理者は、データの取得・開示時に加盟国法の規定を遵守しなければなりません。
同時に、管理者はデータ主体に対して、法的要求に従いデータを取得・開示する場合があることを明言しておく必要があります。(法律で禁止されている場合は除く)

GDPR前文41は、適法根拠、法的手段は明確で正確であり、データ主体が予測可能である必要があるとしています。
GDPR第14条(5)は、GDPR第13条が適用される直接取得の場合には適用されません。

GDPR第13条で例外規定が適用されるのはGDPR第13条(4)が該当する場合のみです。(データ主体が既に当該情報を持っている場合)
詳細は【68】を参照してください。加盟国はGDPR第23条により透明性の権利に制限をかける場合があります。

例)
税務当局は雇用主から雇用者の給与情報の詳細を取得する義務が加盟国法によってあります。
個人データは直接取得されていないので、税務当局はGDPR第14条に準拠する義務があります。
税務当局が雇用主からデータを取得することは明示的に法律で規定されているためGDPR第14条の規程は、税務当局には該当しないと判断できます。

透明性のガイドライン(WP260 rev.01)を読む(43)

フランスの監督機関CNILが行った監査で、マーケティング・ソリューション会社の使用しているアプリが違法と判断されました。
アプリは起動していないときもスマートフォン・ユーザのデータ(位置情報)をターゲットマーケティング目的で取得しており、そのことをユーザに通知していませんでした。
また、位置情報データを必要以上長期にわたって保有していました。(13か月)

CNILは会社に対して同意取得のための期間を3か月与え、保管期間を適正化するポリシーの実装をこの期間内に行うよう指導しました。

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<目的を著しく損ねる場合 Serious impairment of objectives>
【65】
この条件に準拠する場合、GDPR第14条(1)で義務付けられている情報を提供だけで目的が損なわれることを証明しなければなりません。
GDPR第14条(5)(b)の前提条件としてGDPR第5条の原則をすべて満足していることがあることも忘れてはなりません。
個人データの処理は、公正で適法根拠を持っている必要があります。

例)
銀行Aは資金洗浄防止法に従う必要があり、同行がもつ口座について疑いのある活動を認めた場合、関連する金融法管轄当局に報告しなければなりません。
銀行Aは別の加盟国にある銀行Bから、銀行Bの口座保有者が銀行Aに資金を移動するよう要求を受けたと通知を受けました。

銀行Aはその資金移動に疑問を抱き、関連する金融法管轄当局に情報を提供しました。
資金洗浄防止法は、口座保有者に情報提供することを有罪行為として規定しています。

このような場合、GDPR第14条(5)(b)の適用が可能となります。GDPR第14条(1)の情報提供を行うことによって、金融法の目的が著しく損なわれ、
口座保有者に情報共有する結果となるためです。

しかし、一般的な情報として銀行Aは開示された情報が資金洗浄防止法のために処理されるケースがあることをすべての講座所有者に通知することはできます。

透明性のガイドライン(WP260 rev.01)を読む(42)

ブラジルで新たなプライバシー法が施行されました。2020年2月15日に施行されます。
管理者は苦情を受け付け、従業員がデータ保護を適切に行うように指導するDPOを任命することを義務付けられます。
管理者は、同意、正当な利益、契約の履行、子どものための最善の利益といった適法根拠をデータ処理に示す必要があります。
新製品、新技術に対してはPIA(プライバシー・インパクト・アセスメント)を行う必要があります。
管理者はデータ主体の要求(ポータビリティー権、修正権、同意の撤回、自動化された意思決定の見直し)に対して対応しなければなりません。
また、セキュリティ事故が発生した場合はDPAおよび影響を受けたデータ主体に通知する必要があります。
違反者には最大15億円の制裁金が課せられます。

引き続き「透明性のガイドライン(WP260 rev.01)」を読んでいきます。

【64】
管理者は「埠頭に過大な労力」を必要とするためGDPR第14条(5)(b)に基づいて情報通知を行わないと決定する際、バランシングテストを実施すべきです。
管理者がデータ主体に情報を提供するとした場合の労力とデータ主体に情報通知を行わない場合のデータ主体への影響を比較します。

バランシングテストの結果はアカウンタビリティの資料として有用となることでしょう。
同時に、管理者はデータ主体の自由と権利を護るために適切な安全保護策を講じておくことが推奨されます。

管理者は各データ主体に通知できないと判断した場合、公にアクセス可能な場所で情報通知を行っておくべきです。
ウェブサイトに掲示する、新聞に掲示する、ポスターを自社の敷地内に掲示する等の方法が取れることでしょう。

また、状況によっては、DPIAを実施する、データに仮名化技術を適用する、取得したデータを最小化する、保管期間を最小化する、高いレベルの安全保護策を組織的、技術的に講じる、といったことが行えます。

データ主体の特定を不要とする処理(仮名化されたデータの処理)の場合は、GDPR第11条(1)で示されているように、わざわざ個人を特定する必要はありません。

透明性のガイドライン(WP260 rev.01)を読む(41)

日経新聞が中国のサイバーセキュリティ法(インターネット安全法)について報道を始めました。
例によって危機感をあおる報道となっていますが、先日参加したIAPPのアジア・プライバシー・フォーラムではアカウンタビリティを果たしていて、
かつ越境移転のプロセスを踏んでいれば大きな問題はないという認識でした。

当社もそれをうけて、中国のサイバーセキュリティ法への対応というよりは、プライバシー・マネジメントのフレームワークを導入するほうが先だとアドバイスをしています。
小手先の対応は結局コスト高になるだけでなく、組織内の混乱を招くことでしょう。新聞報道は「ニュースになる」内容を報道するので、注意が必要です。

引き続き「透明性のガイドライン(WP260 rev.01)」を読んでいきます。

<データ主体の権利行使>
【63】
GPDR全文62で言及されている要因(データ主体の下図、データの古さ、適切な安全保護措置)は管理者が「不当に過大な努力」を要すると判断する際の基準となります。

例)
ある姓に基づいて系列を調査する歴史的調査で、2万人のデータ主体に関する系列データセットを間接的に入手したとします。
このデータセットは50年前に収集されたものであり、それ以降更新されておらず、また連絡先情報も含んでいません。
この場合、データサイズが大きいこと、更にデータが古いことに鑑みて、データ主体一人ひとりにコンタクトすることは「不当に過大な努力」を要すると判断できます。

透明性のガイドライン(WP260 rev.01)を読む(40)

イタリアのニュースです。あるメーカーがGPSシステムを社用車に搭載し、120秒ごとに従業員データ(車の位置、運転時間、ブレーキの時間)を取得していました。その会社は、従業員に当該システムについて適切に通知しておらず、1年間取得したデータを保管していました。(それによって従業員を継続的に監視することができていた)

DPAはそれを不当と判断し、取得したデータや保存していたデータについてデータ処理を停止するよう命じられました。

引き続き「透明性のガイドライン(WP260 rev.01)」を読んでいきます。

<過大な努力 (Disproportionate effort)>
【62】
GDPR第14条(5)(b)でいう「不可能」または「過大な努力」が何に該当するかは、GDPR第13条のケースと同じ基準で判断します。
両者の違いは、GDPR第14条のケースでは、データが直接個人から取得されたわけではない点です。

GDPR第14条(5)(b)の「不可能」または「過大な努力」を適用する際は、データ主体から直接取得されていないことがポイントとなります。

例)
ある大都市の病院では、日帰り手術、長期入院、予約の際に患者情報を記入するように求めています。この患者情報には二親等の親族情報を記載することとなっています。
この病院では日々多数の患者が出入りしており、フォームの二等親の親族情報に記入されたデータ主体にGDPR第14条で要求される情報を通知することは、事実上不可能と判断できます。