2022/11/2★寺川貴也が注目する最新news topic★

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中国のデータ越境移転に関する動向(続編)

11月になり、今年も残すところわずか2か月となりました。当社は11月が期の始まりなので、新たな年度に向けて気持ちを新たにしているところです。今期も新たなサービスと有用なサポートを届けられるようスタッフ一同努めてまいります。

 

前回中国の越境データ移転に関するセキュリティ評価への問い合わせが増えているという話を紹介しました。その後、すでにいくつかの会社が当局に申請したことや大手企業の中には当局から却下された企業もあることがわかりました。越境データ移転に関するセキュリティ評価では、PIAに加え、移転先のセキュリティ体制の状況等、移転に関する特有の評価も必要であり、この評価の仕方についてまだ十分方法が定まっていないというのが現状のようです。

 

中国語ですが、以下のページ(TMT法律论坛)が比較的よくまとめてくれているため、セキュリティ評価の考え方について整理したいときには参照してください。

https://mp.weixin.qq.com/s?__biz=MzU4MDY4NzE1Nw==&mid=2247490519&idx=1&sn=250c64f9249ba00fc0f552129385a27c&scene=21

 

越境移転に関連して話をすると、トルコのイスタンブールでは10月末、GPA (Global Privacy Assembly)が開催されていました。GPAは世界各国の当局が年に一度集まって、データプライバシーに関するポリシーについて協議する場であり、データプライバシーの重点的な取り組み領域を知るために重要な会議の一つです。今年はGPAがカリフォルニア州の当局であるCalifornia Privacy Protection Agency (CPPA) を投票権のあるメンバーとして加えたというニュースも流れていました。

 

このGPAで最近常に取り上げられる課題はデータの越境移転です。欧州と米国の間のデータ流通については米国の大統領令を受けてPrivacy Shield 2.0の発効が待たれているほか、DFFT(Data Free Flow with Trust)という各国間のデータの自由な流通についての議論も行われました。詳しい情報はありませんが、この議論の中心にいる専門家からはため息ばかりが聞こえてきます。2023年に開催されるG7ではDFFTについて日本政府が何らかの宣言を公表したいと考えているようです。データの越境移転はデジタル社会の要となるため、少しでも進展がみられることを願っています。

 

最後に、次回のこのコラムに関連する内容ですが、GPAでは顔認識技術についての適正な利用に向けた勧告(resolution)が採択されました。顔認識技術は犯罪捜査で有効性を示してきましたが、同時にバイアスの問題や監視社会化への懸念が指摘されてきた技術です。今回の勧告では6つの原則(法的根拠があること、合理的かつ必要であり行き過ぎていないこと、人権を保護すること、透明性を担保すること、データ保護の原則を考慮すること)を要求しています。

顔認識技術については、私がAIについてのポリシーを学んでいるCAIDPが積極的に禁止を働きかけていました。そのため、GPAの勧告は私個人にとっては感慨あるニュースでした。余談ですが、ポリシーについて学ぶ中で、私たちの先生がこう言っていました:「法律は「拘束力があるかどうか」を問題とするが、ポリシーは「民主的な社会にとって正しいかどうか」を問題にする」

データプライバシーの先には「将来世代にどのような社会を残したいか」という問いがありますが、まさしくポリシーとしての視点が重要なのだと思います。

 

 次回はAIについてのガイダンスが増えてきていますので、この話題を取り上げようと思います。

▼中国のセキュリティ評価申請状況、GPAでの議論

https://www.caidp.org/

 

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