2023/2/22★寺川貴也が注目する最新news topic★

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★大切なのは情報の選別力★

 

今年私がやりたいと思っていることの一つに、本社がある芦屋やその近郊の地域での活動を仕事に加えることがあります。

プライバシーやセキュリティは日常生活への影響もあるもので、だれも無縁でいることはできないからです。

中でもオンラインセーフティのイベントは昨年に続き頻度を増やして実施したいと考えています。

仕事といっても日本では一般社団法人として行ったほうが良い性格のものにも感じます。

 

こういった思いもあり、今年に入って本社近郊の専門家の方とも意識してお会いするようにしています。

そのご縁で3月26日に神戸で子どもたちを対象としたオンラインセーフティのイベントを開催させていただけることになりました。

提案してくれたのは、個人的にもお付き合いのある神戸で教室を展開する塾の経営者の方です。

彼は生徒や親に信頼されている方で、オンラインのトラブルについて相談を受けることもあるそうです。

 

イベントについて当社のアドバイザーであるジュゼッペと話をしているときに、彼が面白いことを言いました。

ジュゼッペは、最近の子どもたちはスマホやタッチパッドであっという間に情報を探せるといいます。

そういう時代に必要なのは、信頼できる情報を選別する力だといいます。

これはとても大切なポイントです。

 

実際、今は「ネットで調べよう」とすぐに調べられるので、このスキルを身に着けた子どもは、確実に大人よりも多くの情報を得ているはずです。

大人の言うことを聞きなさい、といっても「ネットにもっと情報があるのに何で大人の話を聞かないといけないの?」というのが子どもの言い分かもしれません。

大人も即席の情報をオンラインで得ることが多い中、子どもたちと同じソースから学習している機会が増えているでしょう。

知識量の差をもとにした指導は難しい時代になっているのです。

 

大人と子どもの違いは、情報の質を見分けることができるかに収斂しそうです。

情報は良質の情報とそうでない情報があります。

現代のネット空間や一部の書籍は「自由」な言論の場であるため、玉石混交の情報が入り乱れています。

その中で信頼できる情報を選ぶことができなければ、判断を誤る機会が増えてきます。

ネット時代の現代、少なくとも日本では誤った判断の痕跡を消すことはできません。

失敗することが許されない厳しい時代に私たちは生きていると言えます。

 

情報を選別する力と同時に大切なのが、「これをしてよいのか?」を問う判断の力です。

最近日本では回転ずしの迷惑動画とその顛末が話題になりましたが、あの青年も迷惑動画で人生を台無しにした若者のニュースは目にしていたはずです。

自分の行為とすでに手にしていたはずの情報とを結びつけることができなかったのは、

彼と彼の周りにいる人たちが彼岸の火事という認識しかできていなかったことに原因があるように感じます。

 

3月のイベントでは、こういった本質的な議論を交えながら、子どもたちが安全に失敗できるための方法を話せるといいと思っています。

 

 

※イベント場所等詳細が決まり次第、メルマガでも改めてご案内する予定です。

 

 

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~シンガポールのオンラインセーフティー法について~

各国でオンラインセーフティーを規制する動きが加速しています。

 

シンガポールで2023年2月1日にオンラインセーフティー法が施行されました。

一般にアクセス可能なオンライン・コミュニケーション・サービスにおいて、

特に子供のオンラインユーザーの安全性を高めることと、有害コンテンツの拡散を除外することを目的とした法律です。

違反者に対しては最大100万シンガポールドルの罰金を課す、またはシンガポール国内でのサービス提供を停止する比較的厳しい規制となっています。

 

悪質なコンテンツの定義は、オンラインセーフティー法上では以下とされています。

 

・暴力、残虐行為、拷問行為、またはその他の深刻な身体的危害を人間に与えることや性的行為に関連する性的暴力、または強要することを擁護/指示するコンテンツ

・性的な目的で描いたコンテンツ、または子供を搾取するコンテンツ

・悪意や敵意を引き起こす可能性のある方法で人種や宗教の問題を扱うコンテンツ

 

IMDAの施行規則案では有害コンテンツの定義を以下とされています。

 

・性的なコンテンツ

・暴力的なコンテンツ

・自殺および自傷行為

・ネットいじめ、公衆衛生を危険にさらすコンテンツ

・悪徳を助長するもの、組織犯罪に関するもの

 

日本で数多くみられる炎上商法的な投稿は、シンガポールでは有害コンテンツに分類されることになりそうです。

オンラインコミュニティを運用する者は、ユーザーが有害コンテンツにさらされることを極力抑制する義務を負います。

ガイドラインや基準の準備と運用を行い、積極的に有害コンテンツを検出し削除することも求められます。

子どものアカウントに関しては閲覧可能なコンテンツを管理し、子どものプロフィールの一般公開を抑制する仕組みを提供する他、

子どものアカウントへのダイレクトメッセージを制限すること、子どもの現在地の共有を制限すること等が規定されています。

IMDAはオンライン・コミュニケーション・サービス提供業者に年次報告書を提出させる予定で、

ここではサービスで遭遇する有害または不適切なコンテンツの量と種類、

有害または不適切なコンテンツへのユーザーの露出を軽減するためにサービスが取った措置、

ユーザーからの報告に対してサービスが実行したアクションを報告させます。

 

オンラインセーフティー法は多くの犯罪が具現化するクローズドなコミュニケーション(メッセージングアプリやプライベートメッセージ)を規制対象外としているため、

被害発生への間口を狭めオンライン環境をオフライン環境に近づけたという印象です。

オンライン空間を「特別な場所」にしないという規制の動きは今後も世界各国で進展しそうです。

最終的にはオフライン世界のルールと同等のルールがオンライン空間にも敷衍するというのは自然な流れです。

 

オンラインセーフティーの基本は「実際に面と向かって相手に言えないことやできないことはオンラインでも言ってはいけないしやってはいけない」という一言に収斂します。

オンライン空間を「特別な場所」にしないというのはDXを推進する上でも、意識しておきたい点ではないでしょうか。

 

 

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~ワシントンDCでのGlobal Privacy Summitについて~

この4月2日から4月5日にかけてアメリカのワシントンDCでGlobal Privacy Summitが開催されます。
SummitはIAPPが開催するプライバシーの国際会議で最も大きな会議で、
基調パネルにはEDPBの委員長であるAndrea Jelinek氏とSchrems裁判で有名なnoybのMax Schrems氏も登場します。
プライバシー専門家によるセッションは85セッション以上、
会場に出展しているプライバシーに関するサービスプロバイダーのブースの数は125以上とその規模の大きさがうかがえます。

私はこのGlobal Privacy Summitで提供されるアジアにおけるプライバシーコンプライアンスについてのセッションに参加させていただきます。
パネリストは韓国の個人情報保護委員長であるHaksoo Ko氏、
フィリピンの前個人情報保護委員会委員長であるRaymond Liboro氏、
オーストラリアで20年以上プライバシーの専門家として活躍してきたカナダ出身のNicole Stephensen氏と、
超がつく一流の専門家が並んでおり、そこに何故か私も加えていただいています。
このような多様な背景をもったパネリストによるパネルディスカッションは、プライバシーに関する問題の複雑な側面を浮かび上がらせてくれることでしょう。
モデレーターであるフィリピン人弁護士のJon Bello氏の人柄が実現したセッションです。

先日、このセッションに向けての事前ミーティングが開催されました。
ミーティングではアジアにもプライバシーの概念が根付いていることをどう伝えればいいのか、
アジアの多様性をどうしたらわかってもらえるのか、
GDPRに似せた法律が数多くあるにも関わらず欧米と視点が異なることをハイライトするにはどうすればよいのか、
とパネリストからはセッションに対する意見が活発に出てとても面白い時間となりました。
4月4日当日のセッションは当局の見方と民間部門で仕事をする専門家の両方の視点を得られると同時に、
アジアにおけるプライバシーの専門家の温度感を知ることができるような気がします。
日本企業にとってもアジア市場は大切な市場です。
DCに足を運ばれる方はぜひ聞きに来ていただければ幸いです。

実はRaymond氏からは5月に彼が開催するフィリピンでの国際会議にもお招きいただいています。
Raymond氏はプライバシー・バイ・デザインをアジアに根付かせようと本気で取り組んでいます。
気さくな方で、彼のプライバシーに対するパッションにはいつも刺激をいただきます。
こちらの会議についても話の内容が固まり次第お知らせします。

プライバシーの世界は横のつながりが強くフレンドリーな雰囲気があります。
IAPPのメンバーである日本の専門家のみなさんにも気さくで対等にお話をしていただける方が多い気がします。
プライバシー業界が生まれて間もないというのがその理由なでしょう。
私の感覚では、私たちプライバシーの専門家はまるで学友のようにプライバシーについて対等な立場で議論しています。
フラットなつながりは多様性を育み知識を深めてくれます。
プライバシーの問題は多岐にわたっているため、健全な社会の発展のためにもこの時間がもうしばらく続いてくれると良いと思っています。

▼IAPP Global Privacy Summit 2023
2023年4月2~5日の4日間
https://iapp.org/conference/global-privacy-summit/

 

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<認証試験の勉強の仕方

テクニカ・ゼン株式会社は日本で唯一のIAPPオフィシャル・トレーニングパートナーとして、

CIPP/Eトレーニング、CIPMトレーニング、CIPTトレーニング、Foundationトレーニングを日本語で提供しています。

IAPPの認証はグローバルで活躍したいプライバシープロフェッショナルにとっては不可欠の認証です。

トレーニングの費用自体は決して安くないですが、それでも継続的にお申し込みをいただいています。

IAPPの認証を取得することは、それだけの価値があるものなのです。

 

当社もIAPPトレーニングを提供する事業者として、受講者の方が確実に認証試験に合格することをお手伝いしています。

当社はIAPPトレーニングの提供にとどまらず、IAPPトレーニングの受講後フォローアップ講習を行う他、認証試験準備講座も提供させていただいています。

(認証試験準備講座の詳細はこちら→ https://technica-zen.com/exam-preparation/ )

希望される方にはアドホックで学習をサポートし、受講生の方が確実にIAPPの認証試験に合格できるまでお手伝いさせていただいています。

昨年4月にトレーニング提供を開始してから9か月が経過しましたが、その間に3名の方が認証試験に一度目の挑戦で合格しました。

受講生の合格の報告があれば、スタッフ一同自分たちのことのように喜んでいます。

今も6名の方の認証試験の勉強をお手伝いしています。

 

IAPPトレーニングは認証試験のBody of Knowledge(知識体系)に合致した内容となっているのですが、

残念ながらIAPPトレーニングを受講するだけでは認証試験に合格できるわけではありません。

受講後、問題演習やテキストを通じてポイントを自分なりに整理し、調査し、ようやく合格できます。

仕事をしながらだと、これがなかなか大変です。

家庭もあり、仕事も忙しいなか勉強を続けられている受講生の皆さんには本当に頭が下がる思いです。

 

当社が受講生にお勧めしている認証試験の勉強は、各認証試験の問題演習を行うことです。

IAPPの試験は公開されていないことになっているのですが、なぜかオンラインでIAPPの試験対策問題集が発売されています。

こういった問題集に掲載している問題は解答が怪しいことも多く鵜呑みできないのですが、学習のムラをなくすためには有用です。

当社もこういった問題集から問題をキュレーションし、必要に応じて手直しをしながら受講生の方に解いていただいています。

CIPP/Eに合格された方の一人は「問題演習と法律の原文を読むことにつきる」と言っていましたが、私もその通りだと思います。

テキストを最初から最後まで読んで理解を深めるということは正攻法ではありますが、

400ページ近い英語のテキストを頭に入れることはなかなかできることではないと思います。

 

IAPPトレーニングをしていて思うことは、

認証を取得するということはあくまでもプライバシープロフェッショナルとしてキャリアを積み上げるためのワンステップでしかないということです。

認証とは本来対外的に自分の能力を示すための仕組みでしかないので、その証明を得た後にどんな仕事をするかがより大切です。

IAPPトレーニングの良いところは、グローバルスタンダードであることと実務で役に立つことです。

受講生の方はほとんど全員「仕事に役に立ちます」と伝えてくれます。

アメリカの認証らしく、プラグマティックなトレーニングだということなのでしょう。

受講生はIAPPトレーニングを学ぶことによって、即席ではない原理原則に基づいた基礎が身につきます。

そして、これこそがIAPPや当社がトレーニングを通じて達成したいことのような気がします。

 

2023年もプライバシーにとっては重要な年になるでしょう。

当社では今年後半にCIPP/USトレーニングの開講も予定しています。

少々思い切った投資とはなりますが、ぜひIAPPトレーニングの受講を検討していただければと思います。

 

▼IAPP公式トレーニングについてはこちら

https://technica-zen.com/iapp-official/

 

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<子供のスマホ

今年は私の子の一人が中学生になります。
私の家ではこれを機にスマートフォンを持たせようと考えています。
もちろんノートや筆箱を渡すように渡せるものではありません。
今回のメルマガでは、一人の親として、子どもにスマートフォンを渡す前に考えたことを紹介したいと思います。
プライバシーの専門家の端くれで、オンラインセーフティーにかかわる中、
多くの残念な現状を知る一人がどんな思考をするかは、読者の皆さんもきっと興味があると思います。

スマートフォンを渡すタイミングは以前から中学生からと考えていました。
中学生になる年齢は、子どもから大人へと育つ節目と感じるからです。
もちろん子どもの成長の度合いは一人ひとり違うので、目安としてそう考えているということです。
自分の将来が今の自分の選択で決まり、自分の時間をどう使うべきかと、
その使い方によってどんな未来を期待できるかについて話し合う用意が整い始める時が、渡しても良いタイミングのように感じます。

子どもにとって時間は無限です。
これは子どもの特権といってもいいことで、だからこそあらゆる可能性を試すことができます。
没頭するというのは、時間や生活という感覚を持つようになるとなかなかできないものです。
スマートフォンを渡すうえで私が一番気にかけたのは、
スマートフォンが子どもから可能性を試す時間を奪わないということです。
大人の私たちがよく知っている通り、スマートフォンを通じて提供されるサービスの多くは、
広い意味で「時間つぶし」のためのサービスといえないこともありません。
それ自体は決して悪いことではありませんが、
「時間つぶし」にかまけて可能性を試す子どもの特権を制限してしまうのは、あまりにも勿体ないと思います。

もう一つ子どもにスマートフォンを渡す際に伝えたいことは、実世界での体験を優先するということです。
人と人との関係の基礎は、言葉だけではない、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚といった五感の他、第六感にも依存しています。
スマートフォンを通じて得られるのは限定的な世界の体験です。
限定的な世界の体験が、子どもの体験のすべてとならないように注意を払う必要があると思います。
オンラインの先にいるのはリアルな人です。
そのリアルな人に対する想像性は、実世界での体験を通じて育まれる部分が多いように感じます。
相手を尊重する、信頼できる相手を見分けるという能力を育むことが必要です。

プライバシーの観点からは、写真や動画の共有を原則禁止することにしています。
写真や動画には、イメージの他にもGPSデータや撮影時のタイムスタンプ等豊富な情報が含まれています。
写真や動画の送信は、個人とその画像に写る人々の詳細情報を拡散する行為ともいえるため、
自分だけでなく友人や家族をも危険にさらす可能性のある行為といえます。
一度外部に送信されたデータを元に戻すことはできません。
悪意のある人々や利益のみを追求する企業によって画像データを解析される、加工される、意図せぬ拡散をされる、といったことは日常的に行われています。
わざわざ自分や大切な人を脆弱な立場に追い込む必要はありません。

最後に、いじめや嫌な体験、怖い体験があったらすぐに親に相談することを約束させることにもしています。
オンラインのいじめで子どもが自殺に追い込まれるのは、相談相手がいないことが原因です。
人生経験がまだ十分でない中、One more choice(選択肢)がなくなってしまうと、
極端な手段が唯一の解決策に思えるものです。
問題があれば、問題を見つめる視点を広げる必要があります。
親や良識のある大人は子どもたちの支えとなり、One more choiceを与えられる存在である可能性があります。

注意したいのは、極限状況での相談は本当に信頼できる相手にしかできないということです。
私たち親も、子どもに何かあった時に話してもらえるような存在でなければ相談してもらえません。
信頼してほしいのであれば信頼できる存在にならなければいけないのです。
これは簡単なことではありません。
良い親でありたいのであれば、日ごろから良い親であるために努力を重ねる必要があるように感じます。
親は子どもに育てられる部分もあるのです。

日本は子どもを守る法律が諸外国に比べると手薄に感じます。
オンラインの安全性を担保するための仕組みも一部の心ある人にゆだねられ、
取り締まる側にある立場の人間による犯罪までもが生じているありさまです。
親として子どものオンラインでの安全は、親が守るという認識がまだまだ必要です。

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