2024/7/17<テクニカ・ゼン>CEO寺川貴也が注目するNEWS TOPIC

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~シンガポールから~

今年もIAPPのAPF2024に参加するためにシンガポールに来ています。シンガポールのIAPPのイベントは規模こそ大きくありませんが、データ保護当局であるPDPCが主催するPDPC weekに組み込まれており、IAPP以外のイベントも同時に参加することができるため、いろいろな情報を得ることができます。今年はPETs (プライバシー強化技術)についてのイベントが行われました。残念ながら私は別のパネルディスカッションで参加することがかないませんでしたが、参加した人からは良い内容だったと聞いています。

国際会議に出る目的は大きく二つあります。一つは新しい情報を収集すること、もう一つはつながりを構築することです。カンファレンスでのパネルディスカッションでは、各コミュニティで認められたスピーカーが知見を共有してくれるため、効率よく情報の収集ができます。同時に専門家が集まる場となっているため、当局や業界団体がプレゼンスや指針を示す機会として活用しており、業務を行うための参考となる有益な情報が得られる場所ともなっています。人が集まると、つながりを構築する機会が増えます。ネット上で情報を収集できる時代ではありますが、やはり一番大切なのは顔を合わせたコミュニケーションです。「知っている」誰かの話を通じて得られる温度感は、何物にも代えられない価値があります。

今年のシンガポールは、プライバシー業界が落ち着いた印象があります。プライバシー業界の勢いがなくなったのではなく、プライバシー業界が定着したという印象です。企業ではコストカットでリストラが行われ、プライバシー人材の募集も一定数あるものの、以前のようなハイクラスの求人よりはミドルクラスの求人が中心となっているようです。キャリアを構築するために大学で学位を得るための勉強をしているという話も幾人か聞きました。シンガポールでは就業条件として高い成果と実績を示すことが求められているため、彼らの就業環境は日本では想像できないくらいシビアです。ハラスメント対策で従業員を守らざるを得ない状況となった日本では、今のシンガポールのような働き方は難しいでしょう。マクロな観点からは、日本は競争力に後れをとる要素をはらんでいます。子を持つ親としては、日本の将来が心配になります。

今年はISACAシンガポールのイベントであるGTACS 2024というイベントでパネルディスカッションをすることもできました。私たちが日常の業務で受ける質問によく似た質問をたくさんいただき、セキュリティの専門家を含めたプライバシーについてのアウェアネスの向上が大切な活動の一つに感じました。GTACSに参加してよかったのは、スポンサー出来ていたセキュリティ関連のソフトウェアやサービスに触れることができたことです。プライバシーとセキュリティは重複するところが多いのですが、セキュリティのソフトウェアやサービスがプライバシーに利用されている例はあまり聞いたことがありません。セキュリティ業界で指摘されている課題は参考になるものがあり、とても興味深い時間となりました。

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