2024/7/8<テクニカ・ゼン>CEO寺川貴也が注目するNEWS TOPIC

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~同窓会~

先日、中高時代の東京での同窓会があり参加してきました。
私が通っていた六甲学院という学校はイエズス会の学校で、上智大学の姉妹校です。
毎年関西と東京で同窓会があり、今年は私の代が幹事を割り当てられていました。
私学の良いところは建学の精神が明確で、学校独自の文化が形成されていることだと思います。
同窓会で先輩後輩が一堂に会しても、どこか通じるものがあり、充実した時間を過ごすことができます。

今回は、卒業生で、コロナ禍にあって治療が必要な人に医療を届ける「KISA2隊」を立ち上げられた守上佳樹さんをお招きし、
話を伺うこともできとても感銘を受けました。
制度の垣根を乗り越えて、新しい地域医療の在り方を築きつつある方の姿には勇気をもらいました。

守上さんは、活動当初、
「きみ、なんでそんなことをしているんだ?そんなことをしてもなんの得にもならないし、きみがコロナに感染してコロナを広めてしまったら余計に迷惑ではないか」
と声を掛けられていたそうです。
それが2年後、様々な苦労を経て世の中から活動の意義を認められるようになると、
「君たちは、どうやったらそんなことができるんだ?」と問われるようになったそうです。
問いかけが”why?”から”how?”に変わった、自分たちがやっていることは同じことだけれど、世間が変わってきた、と守上さんは言っていました。
方向性が間違っておらず、やる価値があることであれば、やってしまうのがいいのです。

守上さんの話は「対談」という形で実施し、東大の歴史学/政治学の教授をされている五百旗頭薫先生にお相手をお願いしました。
五百旗頭先生は守上さんの講演のあとのコメントで、悪循環を断ち切るために日本の社会が試みてきたのは好循環を作りだすことだった。
守上さんの活動は、医療界が陥っていた悪循環を好循環で断つという姿に見えるとコメントをされていました。
悪循環を止めようとしても巻き込まれるのが往々です。
好循環をぶつけることで悪循環を卑小化し、より好ましい方向へと軌道を修正するというのが良い方法だというのは、頷く人も多いように思います。
歴史学は、社会を新たな視点から見る視座を与える学問なのだと思います。
世の中を俯瞰して、そこに意味を与えるという作業が歴史であるとすれば、
プログラミングや金融といった「実学」が持ちえない貴重な価値を社会に提供しているようにも感じました。

上智大学の創設期、関東大震災のころにドイツから日本にわたってこられた神父にヘルマン・ホイヴェルス神父という人がいます。
彼の随想集「人生の秋に」の中で日本人にとって、「人間の価値、また存在理由と進歩、自己完成など」について、
西洋で当然視されることが日本では「漠然たる無神論」(善悪の問題ではなく)ゆえに当然視されないことを指摘しています。
日本の社会にあっては、無批判に欧米のアプローチを援用することは難しいようです。
プライバシーやセキュリティ、AIのルールメイキングは欧米が主導していることが多いのですが、
それをなんの工夫もなく組織に当てはめようとするとうまくいかないというのは、いわれのないことではないのです。

活動は、理解してもらってから進めるのではなくまず進めてから理解を得るという方法があること、
悪循環を止めてから好循環を回すというのではなく、悪循環を止めるために好循環を生み出すアプローチがあるということ、
欧米の思想とモチベーションは、日本社会では加工してからでなければなかなか受け入れることができないということ、
そんなことを考えさせられた一日でした。

 

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